語る
天守復元
Castle tower restoration
明治期、大洲城のほとんどの建築物が破却され、
天守も老朽化により解体されました。
現在の天守は、住民の保護活動や寄付に始まり、
専門家らによる伝統工法を用いた技術によって、
約十年の歳月をかけて復元されました。
戦後に木造で復元された四層四階の天守は日本初で、
19.15mの高さは日本一。
復元にあたっては、明治時代の古写真や豊富な資料を基に、
当時の姿を正確に復元されました。
復元に必要な多くの資料が残っていることは
大変稀なことであり、大洲城の天守の復元は、
まさに地元住民の想いと、
資料研究の集大成と言えます。
天守も老朽化により解体されました。
現在の天守は、住民の保護活動や寄付に始まり、
専門家らによる伝統工法を用いた技術によって、
約十年の歳月をかけて復元されました。
戦後に木造で復元された四層四階の天守は日本初で、
19.15mの高さは日本一。
復元にあたっては、明治時代の古写真や豊富な資料を基に、
当時の姿を正確に復元されました。
復元に必要な多くの資料が残っていることは
大変稀なことであり、大洲城の天守の復元は、
まさに地元住民の想いと、
資料研究の集大成と言えます。
復元のあゆみ
大洲城天守は、江戸時代の古絵図をはじめ、江戸時代に造られたと思われる天守雛形、明治時代に撮られた古写真などの史料があり、往時の姿を正確に復元できる日本でも数少ない天守です。大洲城天守の復元は、これらの資料研究の集大成なのです。
明治時代に撮影された写真
天守の外観を知るうえで、第一級の資料として残っており、大洲城天守は3方向から撮影されていました。また、北面の写真は特に鮮明で石垣の石の形や垂木の本数まで確認することができます。
北面
東面
西面
天守雛形
大洲藩作事方棟梁であった中野家に残されていた天守の木組模型。天守の構造を知る大きな手がかりとなりました。
(市指定文化財・市立博物館蔵)
(市指定文化財・市立博物館蔵)
復元年表
大洲城天守閣復元事業は、平成6年(1994)に木造による復元を目指し、大洲城天守閣再建検討委員会が発足したことからはじまります。そして平成8年(1996)に建築史家(故)宮上茂隆氏が「木造による完全復元が可能」と発表し、以後本格的に実施に移されました。完成まで10年の長い道のりを紹介します。
1994
5月
大洲城天守閣再建検討委員会発足
1996
5月
同委員会で(故)宮上茂隆氏により木造による復元が可能との報告
7月
忠実な天守閣の復元を目指し、大洲城天守閣復元委員会と名称変更
1997
3月
大洲城天守閣の外観模型が完成、市役所ロビーに展示
1998
大洲城跡内樹木現況調査及び整備予測調査完了
県指定史跡「大洲城跡」保存整備計画を策定
天守閣跡地地質調査完了
県指定史跡「大洲城跡」保存整備計画を策定
天守閣跡地地質調査完了
1999
天守閣跡発掘調査開始(平成12年1月まで)
3月
基本設計が完了
本体工事概算費13億円、募金目標5億円に決定
募金活動、募木活動が本格始動
本体工事概算費13億円、募金目標5億円に決定
募金活動、募木活動が本格始動
2000
1月
御杣始め式を開催
第一次樹木整備(平成11年12月~平成12年3月まで)
9月
大洲城天守台石垣耐力度調査完了
2001
石垣修復工事(5月~8月)
9月
御用木お披露目式の開催
12月
第2次樹木整備
大洲城天守閣復元工事着工(~平成16年7月30日まで)
実施設計が完了
(財)日本建築センターによる防災、構造安全評価を取得
愛媛県による建築基準法第3条の適用認定
実施設計が完了
(財)日本建築センターによる防災、構造安全評価を取得
愛媛県による建築基準法第3条の適用認定
2002
2月
起工式
6月
木曳き式
2003
4月
上棟式
2004
7月
工事終了
9月
竣工
伝統技術を受け継ぐ
大洲城天守の復元は、慶長年間(1596~1614)に建てられたといわれる天守を現代によみがえらせる事業です。それは、当時の技術を再現することにほかなりません。この目的のため、多くの人々が様々な分野で挑戦し、その成果が4層4階の天守に結実しました。今後この技術を後世に受け継いでいくことが、私たちに課せられた大切な使命なのです。
建て方工事
富山県南砺市井波の宮大工と地元の大工たちの見事な共同作業。職人たちが息を合わせ、木組みを完成させました。
木工事
大規模な建物を組み上げるには、墨付けや加工に大変な精度が要求されます。
左官工事
壁は下地に竹小舞を組み、その上から何度も壁土を重ねます。漆喰仕上げまでに7~8工程を要しました。
屋根工事
屋根瓦には、寒さに強い岐阜県産の燻し瓦を使用しております。大洲城天守は破風が多く、屋根を葺くのは難工事でした。天守4層にある丸みを帯びた唐破風は、職人の腕の見せ所です。
和釘製作
長押や垂木に使用した和釘は、松山市在住の鍛冶師、白鷹幸伯氏が古来の工法にならい、純鉄から制作しました。